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睡眠と健康と病気関連用語、解説

睡眠と脳、睡眠と健康、睡眠と病気関連の用語と解説


睡眠とは何か?

「睡眠とは脳による脳の管理技術である。
睡眠の役割を整理すると、脳を創り、脳を育てる脳を守る、脳を修復する脳をより良く活動させるという事になる。」
井上昌二郎 東京医科歯科大学名誉教授

もっと記憶力を高めたい、クリアな脳にしたい、脳を活性化して仕事の効率を高めたい誰もが願うこのような願望を実現させるにはどうすれば良いのでしょうか?

その答えは睡眠の中に隠れていると説かれています。
睡眠で記憶力が向上する。
睡眠で運動能力が向上する。
睡眠には美容やアンチエイジング効果を高める役割を担っている。
この様に
睡眠とは、単に脳を休ませるだけでなく、脳の働きを高める必要不可欠なアクティブな活動であることに驚かされます。
(睡眠と脳の科学 古賀良彦氏 著作より)

睡眠とは?(今一つの定義として)
外部の刺激に対する反応が低下した状態であり、容易に回復するものである。
植物状態や脳死などの昏睡状態にある場合や、全身麻酔で眠っている場合も刺激に対する反応性は低下しているが、
"容易に回復できる”ということを満たさない為、睡眠とはみなされない。
加えて
第二に睡眠時は感覚系に於いて外部の刺激に対する反応性(脳へのインプット)の低下がみられると共に、
運動系(脳からのアウトプット)に関しては目的を持った行動が無くなる
睡眠中も寝返りを打つなどの自発運動はあり、場合によっては「レム睡眠行動障害」や「夢遊病(夢中遊行)」
という病気で睡眠中に動くことはあるが、それらは目的を持った行動とは言えない。
第三に、睡眠にはその動物特有の姿勢を取ることが多い。
人間は通常横になって眠り、ラットやマウスは寄せ合って身体を丸めて眠る。
動物によっては立ったまま眠るものもある。
又通常どんな動物も巣に帰って眠る場合が多い。
渡り鳥などは飛びながら眠ることが出来、イルカは泳ぎながら眠ることが出来る。
(睡眠の科学 櫻井武氏著)より
 

睡眠の始まり
レム睡眠

睡眠の発生と脳の発達

人の生命活動は受精の瞬間から始まりますが、受精卵には睡眠も覚醒もありません。
その後受精卵が細胞分裂を繰り返し、固体化が進み、胎児となっていきます。
しかし中枢神経や内臓が発達した胎児でも、大脳が殆ど発達していない段階では睡眠と覚醒はありません。
しかし大脳が発達してくると、最初にレム睡眠が出現します。
これが人の睡眠の始まりとなります。
レム睡眠中の新生児は、中枢神経系や筋肉系が刺激されさかんに細かく動きます。
これはレム睡眠が大脳の機能を発達させ、意識を覚醒に近い状態に導く為であると考えられます。
この睡眠が「動睡眠」と呼ばれます。
大脳が完成すると睡眠は覚醒中に疲労した大脳を休息させたり、修復するノンレム睡眠が中心になります。
が新生児の様にまだ発達段階では、レム睡眠により大脳の働きを賦活(活力を与える)させることが睡眠の一番の役割となります。
新生児は誕生後すぐに母乳を飲んだり、泣いたり、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を発達させ
学習し、必要なことを記憶していきます。
この様な情報信号が伝わる神経回路を作っているのもレム睡眠の働きによります。
この様にレム睡眠は発育途上の脳の中で、神経回路を整備し、試運転し整備点検を行って
脳の更なる発育の貢献しているのです。
これが上記の井上教授の「睡眠が人を創り、育てる」という意味です。
レム睡眠は、大脳が発達した成人に於いても重要な役割を担っています。

「睡眠と脳の科学」 (古賀良彦氏 祥伝社新書)より引用

レム睡眠とは
所謂睡眠中の眼球が不規則に動く状態が出現することからこのように呼ばれているものです。
1953年シカゴ大学のユージンアセリンスキーとナサニエル・クレイトマン氏の研究により発見されました。
それまで睡眠中は脳の活動が低下していると考えられていましたのでこの様な「睡眠中の脳の賦活(ふかつ)」
は大きな発見となりました。(脳研究分野で脳の活動が高まることを賦活と表現される)
この現象を急速眼球運動( Rapid Eye Movement)を伴う睡眠という意味でその頭文字のレム(REM)睡眠と名付けられました。
(睡眠の科学 櫻井武氏著)より

脳を修復する眠り
ノンレム睡眠

高度に発達した人間の脳は、非常に繊細な神経伝達回路を持ち体重のわずか2%しかないにも
拘わらず、全エネルギーの18%を消費する程のハードワークをこなしています。
その為に継続的に使用すると機能低下を来し、損傷すると正常な精神活動や生命活動が行えず
生命の危機に瀕することにもなります。
この様に機能が低下する脳のリペアをする働きを担うのがノンレム睡眠なのです。
新生児のレム睡眠が「動睡眠」等御ばれることに対してこちらは「静睡眠」と呼ばれます。
またレム睡眠より後に大脳がある程度発達した後に出現するので「第2の睡眠」とも言われます。
「睡眠と脳の科学」 (古賀良彦氏 祥伝社新書)より

最新技術で見えてきた睡眠時の脳
深いノンレム睡眠では脳全体の血流量は低下する。
これはノンレム睡眠時に脳が休息状態にあることを示している。
特に脳幹、前脳基底部、視床の活動が顕著に低下する。この領域は覚醒の制御に関わるところなのでノンレム睡眠時に活動が低下するのは当然のことである。
しかし唯一、ノンレム睡眠中に活動が高くなる部位があり、それは「睡眠中枢」の活動である。
睡眠中枢は間脳と中脳の移行部にある「視床下部」の前部、「視索前野」という部分に存在する。
睡眠はこの睡眠中枢が活性化することによって作り出されている。
即ち睡眠は受動的なものではなく、脳が積極的に作り出しているものであるそうだ。
その意味でこの「視索前野」を「眠らせる脳」と呼ぶ人もいる。
ノンレム睡眠時の大脳皮質の活動低下は一様に起こるのではなく、言語中枢を含む左側頭葉や左前頭葉の領域の低下が強く現れる。
この事は睡眠が「脳全体に一様」に起こるものではなく「局所」で制御されていることを意味している。
これは「ローカルスリープ(局所睡眠)」と言われる。
(「睡眠の科学」 櫻井武氏著)より

一晩の睡眠経過

レム睡眠とノンレム睡眠

睡眠中レム睡眠とノンレム睡眠はどの様に表れるでしょうか?

入眠すると最初はノンレム睡眠
ノンレム睡眠には浅い眠りから深い眠りまで4ステージにわけられ、30~60分かけて浅い眠りからステージ3と4からなる深い睡眠状態=徐波睡眠に入ります。
徐波とは大きなゆっくりした周波数の脳波で脳の働きが低下している時に見られます。
その後は徐々に眠りが浅くなり、1回10~20分程度のレム睡眠に移行します。
ノンレム睡眠とレム睡眠が出現する周期は、入眠直後が最も長く、2,3,4回目と少しずつ短くなります。
平均的な周期は1回90分でレム睡眠とノンレム睡眠が交互に現れます。
明け方近くにはレム睡眠の時間が長くなり、逆にノンレム睡眠は短くなって覚醒へむかいます。
成人の一晩の睡眠の80%がノンレム睡眠で残りの20%がレム睡眠という比率となります。
睡眠中ノンレム睡眠とレム睡眠を4~5回繰り返すと熟眠感と快適な目覚めが得られ理想的睡眠となります。
(睡眠と能の科学 古賀良彦氏著より)

全身に現れる二つの睡眠の大きな違い
ノンレム睡眠とレム睡眠では、脳だけでなく全身の機能にも大きな違いがみられる。
全身の機能は脳によってコントロールされているので当然ともいえる。

ノンレム睡眠は一般的に脳の休息の時間だと考えられているとおり、脳のエネルギー消費とニューロンの
活動は一日の内で最低になる。
ノンレム睡眠時の身体の機能も特徴的である。脳の運動機能を司る領域が全身の筋肉に命令を下す必要が
少なくなる為に筋の活動は少なくなる。
しかし必要に応じて寝返りなど運動をすることは可能な状態にある。
体温も下がり、エネルギー消費も少なくなる。自律神経の機能では、交感神経の機能が弱まり、
副交感神経の機能が亢進(高い度合いにまで進むこと)する。
その為血圧や心拍は下がり、消化器系の機能が弱まり副交感神経機能が亢進する。
ノンレム睡眠は身体も脳も休息状態にある様に見え、感覚系の入力の処理も覚醒時のようにはいかない。
中枢である脳が機能を落としているのであるから。
しかし感覚系が完全にじゃだんされている訳ではない。
大きな音がしたり、周囲が急に明るくなったりすれば誰でも目が覚めることで分かる。
これに対して
レム睡眠の脳と全身の状態はノンレム睡眠時とは大きく異なっている。
この状態の脳は覚醒時よりも(それも難しい数学の問題を解く等の知的な活浮動をしている時よりも)
活発に活動しているのである。
レム睡眠は非常にミステリアルな状態であり、夢と深い関係がある。
レム睡眠中に覚醒させると、その人は非常に詳細に見ていた夢の内容を話すことが出来る。
しかもその夢は非常に不可解で奇妙な、そしてとても魅力的なストーリーを持っている。
(浅いノンレム睡眠の時にも夢を見るが、内容は平板的で単純である。)
レム睡眠時の大脳皮質は覚醒時と同等か、それ以上に活動している為に脳波は覚醒時とよく似た
低振幅の速波である。この事からレム睡眠は遊説睡眠(paradoxical sleep)とも呼ばれる。
レム睡眠時には脳幹から脊髄に向けて運動ニューロンをマヒさせる信号が送られる為に、全身の
骨格は眼筋や耳小骨(中耳の小さな骨)の筋肉、呼吸筋等を除きマヒしている。その為に
レム睡眠時には脳の命令は筋肉に伝わらないので、夢の中での行動が反映されることは無い。
ただ眼球だけは、不規則にさんざ真名方向に動いている。
不可解なことにレム睡眠時の交感神経と副交感神経は両方とも活性化されている。その為に心拍数、
呼吸数が増える。又体温調節機能はほぼその機能を停止する。
感覚系から脳への入力は、中継点である支障という部分で遮断される。
又出力としての運動を起こすことは出来ない。にも拘らず中枢である脳は賦活されている。
つまり身体と能の間の情報交換をカットした状態で、脳自体は活発に活動しているのである。
レム睡眠とノンレム睡眠は量的に違うだけでなく質的にも全く違うものである。
コンピューターで言えば
オンでインターネットにつながっている状態が覚醒状態
スリープモード状態=ノンレム睡眠
オフラインで使っている状態=レム睡眠
(「睡眠の科学」 櫻井武氏著)より

睡眠に関わるホルモン

睡眠は、単に脳や身体の疲労を和らげる為にあるのではない。
睡眠中は身体の成長を促したり、体内環境を整備するホルモンやたんぱく質など、
様々な物質が分泌されています。
主なホルモンとしては
1:成長ホルモン
2:メラトニン
3:コルチゾール

成長、疲労回復、修復のホルモン=成長ホルモン

1:成長ホルモン;脳下垂体から分泌され、骨や筋肉の成長を促すと共に、身体の疲労回復
  傷んだ組織の修復を行うホルモン。
  又
  脂肪燃焼紫外線による皮膚のダメージの回復新陳代謝美容アンチエイジングにも不可欠
  な役割を担っているホルモン。
  このホルモンの特徴は23時からの3時間内の深いノンレム睡眠に入った時に最も活発に分泌されること。
  その為に成長ホルモンを大量に分泌させて身体を成長させたり、美肌を維持したいと考えるのなら
  入眠直後の約3時間のゴールデンタイムに質の良い、深い眠りがしっかり取れる必要があります。
  「寝不足と夜更かしが健康や美容の大敵」と言われるのには睡眠メカニズムを知れば知る程納得できる
  理由があります。

  睡眠時間帯と成長ホルモン分泌量
  
  23時から2時までの3時間内に深いノンレム睡眠に入った時に最も活発に分泌されるホルモンです。
  成長ホルモンを大量に分泌させて、身体を成長させたり、美肌を維持しようと思われるなら
  23時以前に就寝することが必須です。
  「寝不足は健康や美容の大敵」と言われる所以の根拠はここにあります。
補足:成長ホルモンは、大人になってからも細胞の修復たんぱく質の合成などに関わる大切なホルモンです。
   健康維持病気からの快復ケガの修復回復の為には睡眠中の成長ホルモンの働きが重要なカギを握っ
        ています。
   (睡眠と能の科学 古賀良彦氏著)より

睡眠ホルモン=メラトニン

2:メラトニン;脳の松果体と呼ばれる部分より分泌される眠りのリズムをコントロールするホルモンで
  「睡眠ホルモン」とも言われます。
  がそれだけではなく老化を促す活性酸素の毒性を中和したり、体内の有害物質を解毒して無害化したり
  腫瘍の発達を弱める作用などがあります。
  メラトニンは朝日を浴びた約15時間後に分泌が高まります。
  先の成長ホルモンを大量に分泌する眠りをするには朝7時(遅くとも8時)には朝日を浴びる必要があります。
  逆に夜に明るい光を浴びるとメラトニンの分泌は抑制されますので寝室の照明は明るいものを避ける。
  メラトニンの分泌を促すセラトニンという神経伝達物質は昼間に光を浴びる程より産生が高まります。
  
  睡眠とメラトニン分泌量の推移
  
  眠りのリズムをコントロールしながら、老化促進物質を中和し、有害物質を解毒し、
  腫瘍の発達を弱める作用があるメラトニンを十分に分泌させるには
  朝日を浴びた15時間後頃から分泌が高まります。23時に寝る為、分泌を高める為には
  朝7時遅くとも8時までに朝日をたっぷりと浴びる。同時に夜明るい光を浴びるとメラトニンの
  分泌は抑制されるので夜間や寝室の照明は明るいものは避けること。
  メラトニンの分泌を促すセロトニンという神経伝達物質は日中に光をタップリ浴びることで
  産生が高まります。
  睡眠と発がんの関係とメラトニンの役割
「睡眠時間と乳がん罹患リスクに関する前向きコホート研究=大崎国保コホート研究」によれば、」睡眠時間と乳がん発症リスクの8年間の追跡調査では平均7時間睡眠をとる人の乳がん発症リスクを1とした場合、6時間以下の人は1.62倍、8時間は1.14倍、9時間以上は0.72倍という結果になりました。
又夜勤等の不規則勤務と乳がん発症リスクを調べたアメリカ、デューレン大学のデビッド・ブラスク博士の研究でも夜勤日数が多い看護師の乳がん発症リスクが高まるという報告があります。
これらのがんの発症にもメラトニンの分泌量が影響しているようです。

メラトニンは催眠促進、免疫力、抗腫瘍作用、活性酸素の中和作用を高める働きを持つ
このようにメラトニンは催眠促進、免疫力、抗腫瘍作用、活性酸素の中和作用を高める作用を持つホルモンです。
個のメラトニンは体内時計の働きで朝の光を浴びてから14~15時間後に血中濃度が高まります。
個のメラトニンの分泌を促すセロトニンという神経伝達物質は昼間に光をたっぷりと浴びることにより産生が高まります。

明るすぎる生活環境がメラトニンの分泌を押さえメラトニンの様々な免疫力、抗腫瘍作用などを奪う
このメラトニンの分泌量は生活環境の明暗に依存し、人工光等の明るい環境で生活していると、分泌量は著しく抑制されます。
デビッド・ブラスク博士によれば「夜間に働く人のメラトニンの分泌量は、昼間働く人の5分の1に留まる」とその研究から述べています。
(睡眠と能の科学 古賀良彦氏著)より

住まいの照明の見直し(煌煌とした天井灯による一灯照明)と睡眠の数時間前にスマホ、タブレッド、大型テレビのモニター等からの強烈な光を目から入れないことで上記のセロトニンの分泌が妨げられずメラトニンの産生が高まる様な生活環境の改善がおすすめです。

睡眠モードから活動モードへ=コルチゾール

3:コルチゾール;このホルモンは体内環境を睡眠モードから活動モードに切り替える作用を持っています。
  起床の約3時間前前から分泌が始まり、体内のエネルギー消費を促進し、睡眠中に低下した体温や血糖値
  を上昇させ、脈拍や呼吸数を増加させ快適な目覚めを準備します。
  入眠後は分泌は抑制され、明け方の起床前に分泌がピークに達します。

  睡眠とコルチゾール分泌量
  
  
以上の様に
  「成長ホルモン」「メラトニン」「コルチゾール」の3つのホルモン分泌を円滑にするためには、
  朝7時には起き朝日をたっぷり浴び昼休みにも太陽光を浴びるように努め、
  夜には明るい人工光の照射を避け23時前には就寝する。
 (睡眠と能の科学 古賀良彦氏著)より
  就寝後に身体のしびれや痛みなどで不必要な寝返りが発生せず、それにより目覚めたりすることなく
  眠れる敷寝具環境も又重要になります。

オレキシン=覚醒を安定させ維持する物質

近年の睡眠に関わる日本人による研究で著名なものにオレキシンの発見に携わった櫻井武教授と柳沢教授(現筑波大人間総合研究所)がある。
所謂ナルコレプシーの原因がこのオレキシンの欠乏によるものである事を突き止めた。

睡眠時間

理想の睡眠時間は?

レム睡眠とノンレム睡眠の90分周期を保ち、4~5回繰り返すには最低7~8時間の
睡眠が必要となります。
しかし世の中には4~5時間しか睡眠をとらない人もいます。
日本人の睡眠時間は時代と共に短くなる傾向にあります。

1960年から2010年までの半世紀で約1時間短くなっています。
国別の睡眠時間での比較では

OECDの2009年資料では韓国に次いで短い時間で7時間50分となっています。
従って上記NHK放送文化研究所「国民生活時間調査」の2010年時点7時間14分という数字とは
36分という大きな差があります。調査の目的や調査方法によっても違いが発生するのでしょうか?
現代ではさらに短くなっていると思われますが、この2010年時点での7時間14分というのは
決して短すぎる時間ではありません。

睡眠時間と睡眠の質

睡眠科学では
平均睡眠時間が6時間未満の人をショートスリーパー(短時間睡眠者)人口の約5%
平均睡眠時間が9時間以上の人をロングスリーパー(長時間睡眠者)人口の約10%
存在すると言われています。
両者の違いは
ショートスリーパー(短時間睡眠者)のレム睡眠は短く、ノンレム睡眠は長時間睡眠者と
殆ど変わらず深い睡眠を得ている。
対して
ロングスリーパー(長時間睡眠者)は寝つきが悪く、浅い睡眠を繰り返す傾向が多いと言われています。
即ち
1日に必要な睡眠時間は、時間の長短ではなく睡眠の質であり、深い睡眠であれば睡眠時間が短くても
あまり気にすることはない。

例え4時間しか眠らなくても熟眠感があり体調も良ければ特別に問題ではありません
但し熟眠感が無く寝不足を自覚しているのに(自覚なく「どこでもすぐ寝れる」等と言っている状態も同様)
「私はたん時間睡眠で大丈夫」とか「仕事に追われて寝る間もない」と短時間睡眠を余儀なくされている人
要注意です。
時間的睡眠不足であれ質的な睡眠不足であれ睡眠不足によるダメージは確実に蓄積されます。
(睡眠と能の科学 古賀良彦氏著)より
今日よく聞く「睡眠負債」とはこのことを指しています。
そしてこの様な睡眠の質の不足と時間的な不足と様々な病気の発生とは密接なつながりがあることは
様々な研究で益々明らかになってきています。

睡眠と病気の関係

睡眠は脳の機能を修復し、活性化すると共に、心身の健康を保つという重要な役割を担っています。
その為日常的な睡眠不足や睡眠障害を持つ人は、将来的に生活習慣病や命に係わる重大な病気に
かかる可能性が高くなります。
しかし
がん細胞が体内で発生してから細胞分裂を繰り返して増殖し命に重篤な状態になるまでに約20年

認知症の最大原因、アルツハイマー病の発症原因となるアミロイドベータの蓄積から認知症発症までが約25年

という程の長い年月かけて進行することも解ってきました。
同時にこれら病気は共に体内の治癒力、免疫力で未然に増殖を抑え込むことが出来ます。
この防御システムである免疫力となるのが睡眠で発生するホルモンのひとつメラトニンであり、アルツハイマー病発生原因物質アミロイドベータを髄液と共に排出し蓄積をを防ぐのも質の良い眠りであることが近年の研究で明らかになってきました。
要は規則正しい、質の良い睡眠をとり続ける生活習慣ことこそがこうした病気を未然に防ぎ得る最も基本的で間違いのない対策であるということです。
その為には有名人を使用する安易な宣伝に乗るのでなくしっかりと自身の身体と睡眠、睡眠環境、睡眠時の寝具環境についても真剣に考える、調べる、体験する等でこれらの知識を得て、毎日の質の良い睡眠を得る為にいくばくかの時間(しっかりとした体験の)とお金(安物買いの銭失いならぬ健康失いにならない為の)をご自分の命と健康に投資して戴きたいものです。
(SLEEPSHOPの主張)
 

睡眠とがんの関係

日本人の死因1位がんの関係
がんは身体を構成する60兆個もの細胞のたった一つの遺伝子異変によってがん細胞が発生し20年以上かけて細胞分裂を繰り返し、増殖し、やがて人の命を奪い自らも死に絶える。
体内にがん細胞が発生しても健康な人は増殖を防ぐ力を備えています。
免疫という防御システムにより、日々発生するがん細胞を排除しているので、体内にがん細胞が芽生えても必ずがんになるわけではありません。

問題は睡眠不足や良質な睡眠がとれていないと、免疫力が衰えがんが発症しやすくなる
という研究が数多く報告されていることです。

米国デューレン大学デイビッド、ブラスク博士の研究では
夜勤などの不規則な勤務形態が乳がんなどの発症にどのような影響を与えているかを調べた。
研究では週3回夜勤する看護師の乳がん発症リスクは、日勤の看護師に比べ1.8倍、夜勤専門の
看護師では2.9倍に達すると報告しています。
まとめますと
勤務形態 がん発症リスク
日勤の看護師  1
週3回夜勤の看護師  1.8倍
夜勤専門の看護師  2.9倍
となります。
何故夜勤が乳がんの発症率を高めるのか?
それはメラトニンというホルモンの分泌量が影響していると考えられます。
メラトニン
睡眠促進免疫力抗腫瘍作用活性酸素の中和作用高めるホルモンです。
メラトニンの分泌量は生活環境の明暗に依存し人口光等の明るい環境下ではその分泌は著しく
抑制されます。
上記デューレン大学のデビット・ブラクス博士は
夜間勤務者のメラトニン分泌量昼間勤務者の5分の1に留まる」と述べています。

(睡眠と能の科学 古賀良彦氏著より)

睡眠と高血圧の関係

日本人の死因の2位心臓病4位脳卒中です。
心臓病と脳卒中の主な原因は動脈硬化です。
動脈硬化は血管の弾力が失われ、動脈が詰まったり(血栓)、破裂した利することで狭心症、心筋梗塞心不全、冠動脈瘤と言った心臓疾患につながり、血栓が脳に飛び、脳を詰まらせれば脳卒中などを
引き起こします。
男性社員(入眠障害群4794名、睡眠維持障害群4443名)を4年間追跡調査したある研究では高血圧の発症率は睡眠障害のない人に比べ入眠障害群で1.96倍睡眠維持障害群で1.88倍になったことが報告されています。
何故?不眠で血圧は高くなるのか?
原因は自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れ、緊張感を高める交感神経が優位に働き緊張状態を作り出すことが原因の一つと考えられています。
睡眠中の身体は本来副交感神経が働き身体の緊張を緩める様になりますが、何らかの睡眠障害を抱え、夜中に何度も目覚める様な事が起こると交感神経が働き始める為です。
良質な睡眠をとっていない人、慢性的に睡眠不足の人は高血圧になる確率が高くなります。
これに睡眠不足、喫煙、大量飲酒等の悪しき生活習慣病が重なると心疾患や脳卒中を発症するリスクが急激に高まるのです。
睡眠不足は食欲を増加させる→睡眠不足で運動不足できずエネルギー消費低下→肥満する→血圧、糖代謝変化する→高血圧、糖尿病を引き起こす→不眠を更に悪化させる→心臓病、脳卒中につながる 負のスパイラルとなります。

睡眠と肥満の関係

睡眠不足と肥満にはどの様な関係があるのか?
睡眠時間が短いと、食欲を増進させる「グレリン」というホルモン分泌量が増え、逆に食欲を抑制する「レプチン」というホルモンが減少します。
睡眠時間が短い程グレリンの血中濃度が高まる傾向を示し、逆にレプチンの血中濃度は減少します。
即ち睡眠不足は食欲を増加させエネルギー過剰摂取につながりやすい事が分かります。
 

睡眠と糖尿病の関係

日本のある会社の弾性従業員2649名の8年間の追跡調査では糖尿病発生率は睡眠障害のない人に比べ入眠障害群で2.98倍、睡眠障害群では2.23倍になりました。
糖尿病は遺伝的要素、体質、生活習慣などが複雑に絡み合って発症しますが、その誘因のひとつに睡眠不足が関連している事が分かる研究結果です。
一方で糖尿病被患者の30~40%が不眠を訴えている。
これは不規則な生活習慣、糖尿病に合併する精神障害(鬱状態、不安など)肥満による睡眠時無呼吸症候群などの呼吸障害、糖尿病による口渇、多飲、多尿等で睡眠が中断されること、神経障害の合併による脚の痺れ疼痛等で入眠が妨げられたり睡眠が中断することが原因。
即ち適切な睡眠をとらないと糖尿病にかかる確率が高まり、糖尿病既患者に不眠が多いという事実は悪しき睡眠習慣が糖尿病の発症と病状の推移に多いにかかわっているということ。

睡眠と鬱病の関係

(睡眠と能の科学 古賀良彦氏著より)

睡眠と覚醒のメカニズム


筑波大学国際統合睡眠医学研究機構の柳沢正史教授は1998年櫻井武医学博士と共にテキサス大学のハワードヒューズ研究所にて睡眠の謎に関る重要な物質「オレキシン」を発見した。
オレキシンは睡眠と覚醒という二つの状態がシーソー状態のどちらの状態になるかに大きな役割を果たす物質である。
上記図で示される様に睡眠状態は、睡眠中枢が覚醒中枢やオレキシンを抑制して創り出される。
オレキシンを活性化させる要素は三つあり
〇栄養状態(空腹かどうか?)
 空腹になると血糖値が下がりオレキシンが活性化して脳が覚醒する。
 狩猟時代から空腹時は食料を確保する為に覚醒している必要があった為。
〇情動(激しい感情)
 激しい感情を抱く時にもオレキシンが活性化される。
 情動をもたらす脳内の偏桃体が、強い感情を非常事態だと判断する為。
〇体内時計
 睡眠と覚醒状態に大きな影響を与えるのが体内時計である。
 体内時計は24時間前後のサイクルを持ち、メラトニンやコルチゾール等のホルモンを分泌することで睡眠と覚醒を制御している。
 オレキシンも体内時計によって制御されている。
(週刊ダイヤモンド誌「攻める睡眠 守る睡眠」 2017/7/1刊より)

自律神経

なぜ疲れるのか。長く言われていたのが「乳酸原因説」だ。
運動すると筋肉中に増える乳酸が疲労の原因という見方だが、この説は10年ほど前に否定された。
今では乳酸は筋肉の活動を促進す有用な成分と考えられている。
 これに代わるのが「脳原因説」。
臓器の働きを調節し、体のバランスを維持する自律神経を酷使した結果が疲労だと考えられている。
大阪市や大阪市立大学、食品・医薬品メーカーなどが進めている疲労に関する共同研究「疲労プロジェクト」などにより、そのメカニズムが解明された。
自律神経系は活動時に活発になる交感神経と、夜間や安静時に活発になる副交感神経がセットになっている。
運動時には体温や心拍の調整をするため交感神経が活発に働く。
(日経電子版 ヘルスUP)より
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